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筆者が読んだ本の読書日記。書評ではなく、著書の内容から、自らの体験や時代背景を読み解くことを目指します。筆者の備忘録でもあります。
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686c421f.jpg 小川守正、上村多恵子『平生釟三郎 世界に通用する紳士たれ』
(甲南学園、2009年12月1日)

甲南学園の創始者としての伝記。実は東京海上火災を日本一の損保会社に育て上げた中興の祖であり、現在のコープこうべの前身である灘生協の設立にも尽力した。明治に生を得た代表的日本人の一人である。損保、協同組合、学校jとまったく違う3つの事業を経営したが、底流に流れている考えは「日本」であり「社会」なのだ。損保会社を経営しながら、どうしたら日本が西洋に追いつけるか、どうしたら貧困から日本を救い出せるか。互助と教育に軸足をおいた経営者が戦前の日本には多く存在していたのである。

 灘高は灘の清酒業者が将来の人材育成を目指して創設した。高知の土佐高も川崎、浅井の地元財閥が土佐はからの有為の人物供出を目的とした。もちろん明治から官の学校もあったが、それぞれの地でいわゆる「私学」が相次いで誕生した背景には江戸時代の藩校の存在が大きいのだと思う。
明治以降、日本に上陸したキリスト教宗派が各地で学校建設に乗り出したことも影響しているかもしれないが、人材育成に財界人たちがカネを惜しまなかった時代があったことを羨ましく思う。
お仕着せの官立ではなく、特徴のある学校づくりが必要な時代である。ドイツでは私大という概念がないそうなのだが、反対にアメリカでは国立大学はない。ただドイツは公立であっても日本のように東大を頂点としたヒエラルキーはない。地域ごとの特色を出していると聞く。
教育を国家が牛耳る時代はすでに終わっているはずなのに、日本の文科省は「予算」をテコに大学から幼稚園にいたるまで自らの支配下に置こうとしている。
構造改革の要諦は「自らの仕事の否定」から始まるものだと思っているが、自らを失職させる行政など望むべくもない。
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