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筆者が読んだ本の読書日記。書評ではなく、著書の内容から、自らの体験や時代背景を読み解くことを目指します。筆者の備忘録でもあります。
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賀川豊彦『空中征服』(不二出版、2009年5月)kuucyuu141.jpg

賀川豊彦の風刺小説『空中制服』(不二出版)は5月1日発売だが、28日に東京・中野区の東京都生協連で開催された野尻武敏神戸大学名誉教授の講演会には印刷されたばかりの“著作”が陳列された。賀川関連の最近の出版5冊が並ぶとそれなりにすごいことが起こるかもしれないという感慨にふけざるをえない。

 4月1日発売された太田出版の季刊誌「at」春号は賀川豊彦を特集した。4月7日、小説『死線を越えて』がPHP研究所から復刻され、17日には阿部志郎ほか『賀川豊彦を知っていますか』(教文館)も店頭に並んでいる。2年前にコープみかわや同地のイエスの友会の人々の努力によって『一粒の麦』がすでに復刻されている。


 『空中征服』を再び手にして、この本はひょっとしたら『死線を越えて』より評判になるかもしれないと思い出した。80年前、東洋のマンチェスターと呼ばれるほど工場が密集した大阪を舞台に賀川豊彦が市長になりさまざまな改革を実行する物語である。

 当時の大阪の空は青空がみえないほど煙突からの煤煙に覆われていた。その煤煙を一掃したいというのが賀川市長の公約であった。工場主である資本家との激突があり、市職員のサボタージュがあり、ついには女たちが出てきて賀川市長に協力する。

 大阪の人々の協力を得られず失職した賀川市長は空中都市の建設を夢見る。そこには人間改造機械によって、精神をあらためられた人々だけが送り込まれる。そして風船によって空中に支えられた楽園である田園都市が突如、出現する・・・・・・。

 復刻版に解説を寄せた神戸文学館の義根益美学芸員は「賀川豊彦が みた『空中征服』の夢に、多くの人々が笑い、そして何かを得ただろうと思います。痛烈な皮肉だと、受け止めた人もいたと思います。大正時代当時の人々と、 私たちは随分異なった社会に生きていますが、人間社会の根底をなすものは大きく変わらないことがわかる1冊です。『空中征服』の世界を通じて、私たちが生 きている社会というものを見つめ直す機会になれば幸いです」と書いている。(伴 武澄)

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