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筆者が読んだ本の読書日記。書評ではなく、著書の内容から、自らの体験や時代背景を読み解くことを目指します。筆者の備忘録でもあります。
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41CzMRw16zL._SL500_AA240_.jpg湯浅誠『反貧困』(岩波新書、2008年4月)

「官」が実施する施策はほとんどが事務経費と人件費に消えてしまって、本当に必要な人たちまで届きにくいことはよく知られている。湯浅氏の著書『反貧困』を読むとセーフティーネットの制度は幾重にあっても窓口ではなるべく使わせないように対応している実態が浮かぶ。また本当に困っている人たちはその日の食事代が欲しいため、給料をもらう仕事にはつきにくいし、生活保護を受けるための医師の診断書も健保に入っていないから高くてもらえない。ないないづくしの生活を続けて「すべり台」を下りるしかない状態なのだ。

湯浅さんは、企業、個人から基金を集めて、受け皿として独立行政法人や公益財団法人を用意し、そのお金を雇用保険から漏れてしまう人たちに支給する仕組 みを提案している。つまり、救貧のためにはもはや「官」を頼まず「民」でやろう!ということではないかと理解している。(伴 武澄)
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