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筆者が読んだ本の読書日記。書評ではなく、著書の内容から、自らの体験や時代背景を読み解くことを目指します。筆者の備忘録でもあります。
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0373057d.jpg 賀川豊彦『空中征服』(日本生協連、1981年1月10日)

大正11年に大阪日報に連載したものを同年12月に改造社から出版。出版した月だけでも11版を重ねた。『死線を越えて』がベストセラーになった2年後であるから、評判を呼んで当然だったのかもしれない。
この『空中征服』は、主人公が川の中の生き物と会話をしたり、空中都市が生まれたりするなど奇想天外、荒唐無稽に物語が進む。その点では涙や感動を誘う賀川文学とは軌を一にしていない。大阪の工場から排出するばい煙による大気汚染が限界を超えていたことの業を煮やした賀川豊彦市長が突然、煙筒廃止方針を打ち出し市議会を巻き込んだドタバタ劇が展開する。
公害という言葉さえない時代に大気汚染防止の必要性を指摘した先駆性は大したものだが、それよりも興味深いのは大正末期の日本で賀川豊彦扮する大阪市長が公務員事務の請負制を考え出し、それを実施に移すことである。
小説の中では、アメリカですでに「市政事務引受会社」というものがあることを紹介している。80年前の話である。はたして本当にあったかどうか分からないが、発想が実に現代的である。
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51EgYQ94yUL._SL500_AA240_.jpg星田宏司『日本最初の喫茶店』(いなほ書房、2008年4月)

日本で最初の喫茶店は明治21年、東京・上野に誕生した「可否茶館」だった。
コーヒーを飲ませただけでなく、内外の雑誌や図書を店内において知識人のサロンを目指したそうなのだ。

オーナーは鄭永慶という人物で先祖は代々長崎の通詞だった。鄭というから中国系だが200年以上、日本にいたからもう日本人と言っていい。何を隠そう、鄭成功の弟の子孫というのだからびっくりした。

41vD7I3c1WL._SL500_AA240_.jpg逵日出典『八幡神と神仏習合』(講談社、2007年8月)

学生時代に大分の宇佐に行ったことがある。八幡神社の本家である宇佐八幡宮があることを知っていた。奈良時代、道鏡が天皇になろうとした事件があった。和気清麻呂が宇佐に派遣されて、神の神託をうかがったという。なぜ、宇佐なのだかは学校では教えてくれなかった。宇佐八幡宮にお参りしただけではそのヒントも得ることはなかった。

宇佐八幡宮はずっと頭の中で気掛かりな存在だった。新橋の本屋でこの本を見つけてすぐに買うことになったのは当然のことだった。
a5b8c936.jpg中村哲『アフガニスタンの診療所から』(ちくま文庫、2005年2月9日)

アフガニスタンでペシャワール会の伊藤和也さんが拉致・殺害された事件の後、この本を本棚から持ち出し、読み直した。

15年前に書かれたとき、ソ連がアフガンから撤退した直後だった。1980年代、ソ連はアフガンを破壊しつくした。9・11の後はアメリカがさらに爆弾のあられを降らした。アメリカ政府は9・11の犯人をオサマ・ビンラディンらと断定、彼らが属するとされたアルカイダをかくまったとして、アフガンを攻撃したのだった。


d52dc33b.jpg 伊藤章治『ジャガイモの世界史』(中公新書、2007年1月)

2008年6月22日東京新聞のサンデー版でジャガイモ特集をしていたばかりで刺激されたのかもしれない。汐留の地下の本屋で衝動的に買った。とにかく、ことしは国連の定めた「国際ポテト年」なのだそうだ。

そのむかし、リンゴに興味を持ち、次いでトマト、ジャガイモと関心が広がったことがある。リンゴは別として、トマトもジャガイモも新大陸からもたらされた食物である。
c3668481.jpg新戸雅章『テスラ 発明的想像力の謎』(工学社、2002年2月25日)

テスラはエジソンの向こうを張って「交流」のメリットを主張した。結果、エジソンに勝った。そのわりに知名度が低いのはなぜか。電力の交流化という大役を果たしたテスラは電磁波の研究に没頭する。電磁波がエネルギーを伝えることから、電力も電波で送れるのではないかと考えた。大いなる野望は発想が“ユニークすぎた”ことから研究者として社会的につまはじきにされる。理論的に間違いはないが、100年を経てもその野望はまだ実現に到っていない。
3d498968.jpg石原藤夫『国際通信の日本史』(東海大学出版会、1999年12月20日)









40d11201.jpg田中森一『反転 闇社会の守護神と呼ばれて』(幻冬舎アウトロー文庫、2008年6月10日)

これはすごい本だ。ヤメ検が弁護士になって、元上司や同僚と対決する実話だが、ヤミ社会と警察や検察、それにマスコミとの癒着が次々と暴かれる。
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プロフィール
HN:
伴 武澄
年齢:
73
性別:
男性
誕生日:
1951/05/05
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賀川豊彦研究
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