多くの日本人は気付いていないだろうが、協同組合はわれわれの日々の生活に欠かせないほどの存在となっている。農協、漁協はもちろん公務員の年金を管理している国家公務員共済組合、そしてその地方版である地方公務員共済組合、私学共済組合・・・。
生協の組合員は2005年時点で2341万なのだそうだ。世帯数と考えれば国民の過半が"組合員"だと考えることも可能である。大学時代、生協で飯を食い、生活用品や書籍を購入した記憶を持つ人も少なくないと思う。どれだけ生協に依存していたか。
神戸市に本拠を構える「コープこうべ」は組合員130万人を抱える世界最大の生協である。かつてのダイエーでさえ「かなわない」といわしめた購買層を傘下に持つから兵庫県や神戸市の行政機関にとって日々の重要なパートナーなのである。
神戸ほどではなくとも各地に生協やコープと名打った店舗が随所にある。保険の分野では県民共済、特に埼玉県民共済は100万人を超える加入者を誇り、まだまだ増え続けている。簡素な組織で手厚いサービス。一番の利点は年ごとの収支に応じて「還付金」が40%に達することもあるというのだから人気があって当然だ。
問題は協同組合が日本経済全体からみてどれだけのGDPを生み出しているかという発想がないことである。
20年以上経済記者をやってきたことからの反省としていうならば、生協は経済指標の対象にすらなっていないということである。生協は基本的に自治体単位で成り立っているから、全国規模の経営体ではないが、全生協の「売上高」は日本最大のスーパーの売上高を大きく凌駕していることだけは確かなのである。(伴 武澄)